京都　正伝寺（しょうでんじ） 　　　　　Syodenji Temple 天空仙人の神社仏閣めぐり

臨済宗南禅寺派

吉祥山正伝護国禅寺の由緒

　洛北西賀茂の正伝寺は鎌倉時代我国に来朝された宋の兀菴普寧禅師の法をつがれた東巌 慧安禅師が創立せられたのであリます。

　弘安五年に加茂の祠官森経久が西加茂の地に荘園を寄附して諸堂伽藍を造営して壮観を 極めたと伝えられています。

　爾来皇室の御信仰厚く五穀豊穣国家安泰を祈願する道場とされ、今日まで法燈七百年余 の歴史が続けられております。

重要文化財　方丈

　伏見桃山城にあった遺構で御成殿と称せられていました、承応二年当山に移建して本堂 としたものであります。

重要文化財　　襖絵　　　狩野山楽筆

　方丈の襖絵は淡彩山水図で中国杭州西湖の真景であります。この障壁画は山楽の数少な い作品の内の傑作として美術史上特筆するもので、彼の格調高き風趣を偲ぷに足るものが あります。

血天井　　桃山城遺構

　方丈の広縁の天井は関ヶ原の戦の直前伏見城に立籠った徳川方の重鎮鳥居彦エ門元忠以 下千二百余名がその落城の際割腹し果てた廊下の板を天井としたものであります。今尚板 上に残るおびただしい血痕は当時の悲惨な武士道を物語っています。

　景近血液学の権威として知られている古畑種基博士の研究によって、三百六十八年以前 の人間の血液であると云い伝えているこの斑点より反応のある科学的証明をされました。 　今日菩提追善の念を新たにするものであります。

獅子の児渡し庭園　小堀遠州

　白砂敷平庭でつゝじの刈込によって七五三調を表現した枯山水ではるかに比叡の霊峰を 取り入れた借景式の庭園で、その枯淡な風格は禅苑の心のしずけさを味わしめるものがあ ります。

重要文化財

蒙古降伏祈願文

文永七年五月　壱幅

文永八年八月　壱巻

　元寇の国難に際し、文永七・八年の両度東巌慧安禅師は自ら八幡大菩薩の宝前に至 心をこめた祈願文を捧げられました。

　　　末の世のすへの末まで我国は

　　　　　よろずの国にすぐれたる国

末の世とは釈尊が御入滅の後、二千年を経過すれば末法末世となると云う考え方で日 本では永承七年が二千年目に当るので上下貴賎共に或る種の悲しみと諦めを持ってい た。東巌の居られた頃は更に二百年を過ぎていました。

　果して文永弘安の国難に遭遇して風雲極めて急な時が来たその時禅師は一山の衆徒 を率いて仏前に国家安泰と国民の平和を祈願せられたのであります。其の時の願文の 末尾に書かれたのがこの和歌であります。

○正伝寺の重要文化財の数々並に名宝は目下京都国立博物館に寄托出品中です。

Garden of Syoden-ji Temple

Shoden-ji was established at the present site in 1282. Even today,the garden architecture gives a feeling of magnificence.The garden lies on the eastern side of the Abbot's Chamber. Pruned small trees are planted in a particular 7-5-3 arrangement on the white sand. The garden is called Shishi-no-ko Watashi.